イチゴコンポート ~ 強火で短時間煮る [果物]
あまおうを使ってイチゴコンポートを作ります。アイスクリームに混ぜ込んで、イチゴアイスにするのを前提に作りますが、イチゴソースとしてもおいしく食べられます。
コンポートの定義については前回(「イチゴアイスクリーム〔前編〕 ~ ももいちご」の記事)触れましたので、今回は煮方。
果実はそのままの形か、切ったりつぶしたりして煮るのか?
丸のままのもあればカットしたもの、煮くずれてかたちがないものもコンポートです。そんなことどうでもよさそうですが、それじゃ、
煮る前につぶして、果肉を濾した液体で煮たらコンポートか?
くだらない疑問だけど、なんでかというと、ハーゲンダッツの『ももいちご』のイチゴは、液体かまたは液体に近い状態までつぶされたもので作られているように見えるから。
ハーゲンダッツのサイトページでは、アイスクリームに「コンポート」を混ぜて作ってあると、はっきりと文字で書かれています。
コンポートをそのまま冷凍庫で固めると、ほぼソルベになります。果実まるごと煮たものを冷凍したら、著しくまずくなりますが、つぶして煮たり煮崩れたものなら、冷凍してから解凍しても変化はほとんどありません。
コンポートは砂糖を加えて煮ます。(Tips1)糖度計算
砂糖を加えて加熱すると、水分が抜けていくと同時に、粘度が出てきます。煮詰めれば煮詰めるほど、水分が無くなりとろとろになる。水分が少ないので冷凍しても結晶化しにくくなります。
<材料>
ジャムやコンポートなんてめったに作らないので、糖度いくつって言われても、どれくらいの甘さなのかピンと来ません。40%くらいになるようにしました。
まず問題になるのが、あまおうの糖度。糖度計を持ってないなら、ネット検索するしかない。調べてみると、どのページも数値が違っています。調べるだけ無駄。糖度計を持つほかないようです。
ももいちごだけじゃなく、さくらももいちごもあるんですね。
<下ごしらえ>
イチゴを洗うときはヘタを取らないこと。旨みを流出させてしまう。
水気を切って、ペーパーでひと粒ずつ丁寧に種の間の水分も拭き取ります。
ヘタはふだんなら魚の骨抜きでスパスパ取っちゃうところですが、金気を移したくないので手でちぎる。金気は熱を加えなければ、感じるほど移りませんが。
手で引きちぎってあるので残酷に見える。
香りが飛ばないよう、短時間で煮上げたいので8等分くらいに切っておきます。丸のままでは時間がかかりすぎる。
イチゴを生のまま食べる時は、お尻のほうから。先のほうが甘いので丸かじりするなら、ヘタの付いていた方から食べていきます。
<作り方>
1.ホーローや銅の鍋にイチゴと砂糖を入れる。
砂糖の400gってこんなです。ダイエットの大敵ですね。でも、売ってるお菓子やスイーツってもっと入ってますよ。
砂糖をかけてしばらくおくと水分が出てきます。その方が焦げ付きにくいので、イチゴが汗をかくまで待ちます。
鍋はホーローか銅じゃないと、酸化、変色、悪ければ穴をあけてしまいます。どうしてもないなら、厚手の鍋で煮る。厚手でないとイチゴのこんがりソテーができあがります。
2.強火で一気に加熱し、焦げないよう時々混ぜる。
ずっと混ぜ続けなくていいですが、ジュージューいいだしたら時々混ぜる。
レモンやペクチン足したいでしょ? でも何も余計なもの加えません。固まりにくいだけのこと。
水分がにじみ出てきた。
沸いてきた。
10分も煮ていません。アクが一杯浮いてる。Tips2
もっと煮詰めれば、水分が抜けて濃厚になり、日持ちもするようになります。
厳密には糖度計で測定しながら作るか、重量を測りながらしないと、糖度が分かりません。
食べてみておいしければいいわけですが、糖度は保存期間の目安になります。低い糖度ならすぐに食べきるか、冷凍すること。
このコンポートの糖度は?
(760gx0.1+400)/(1160g-煮詰めて減った分))=糖度
煮詰めながら鍋ごと計りにのせるって無理。
1000gまで煮詰まったとしたら、
(760x0.1+400)/1000=47.6
糖度47.6です。しまった。40にするはずだったのに。1160gのまま計算すれば41になるので、早とちりしたようです。
結果、
甘いよ!
このコンポート単独で食べるには甘すぎる。何かにかけるか、パウンドケーキやチーズケーキに混ぜ込めばおいしくなるかも。
コンポートはもともと果実を保存する目的のために作るもの。
果実が思ったほど甘くなかった時に、砂糖を加えて煮ることで、おいしく食べられるようにするためのものでもあります。
compote はフランス語。英語でも同じ綴りでフランス語からの借用語です。
コンフィチュールはフランス語、英語ではジャムじゃなくて、コンサーブ。
コンポートは英語でもありますが、ふつうはプレザーブと言うようです。
コンポート、ミ・コンフィ、コンフィチュール、ジャム、プレザーブ、コンサーブ、ジェリー、ゼリー
日本人にとってはみんな「甘煮」です。カタカナ語が乱立して、勝手な解釈が一人歩きしています。
日本語では「甘煮」に統一したらどうでしょう。カッコワルイけど分かりやすいです。
色んな種類のプレザーブ、コンサーブ、ジャムを掲載してくださっているサイトがありました。
みんな材料の分量があって親切。
秋のジャム祭!!プレザーブ・コンサーブ・コンポート
糖度の違いで保存期間の目安が分かります。
中糖度のブルーベリージャムのレシピ
Tips1
砂糖を加えないで煮るコンポート、コンフィチュール(ジャム)もあります。フランスのサンダルフォー社のジャムは砂糖を使っていませんね。
砂糖無しなのにジャムの定義に当てはまるの?
定義では糖度で規定されています。糖度の計算式は
(果物重量×果物糖度+砂糖重量)/総重量=糖度
砂糖を加えないなら、
果物重量×果物糖度/総重量=糖度
品種、個体差にもよりますがイチゴなら糖度10%前後。ということは、
イチゴ重量x0.1(10%)/総重量=糖度
糖度60%のジャムにしたければ、
イチゴ重量x0.1/総重量=0.6
↓
総重量=イチゴ重量x0.1/0.6
例をあげると、イチゴ200gで糖度60のジャムを作るなら、
総重量=200x0.1/0.6
=33.3
200gのイチゴを33.3gまで煮詰めればジャムになります。
ここまで煮詰めるのはかなりたいへんです。砂糖を100g混ぜて作ったら、
総重量=(200x0.1+100)/0.6
=200
200gのイチゴに100gの砂糖を加えて、300gを200gまで煮詰めれば、糖度60のジャムになります。これなら簡単。
同じ糖度でも33.3gと200gとまったく違ってきます。
今までコンポートやジャムは、弱火で長時間煮過ぎると香りが飛んで風味が落ちると思っていました。でも、それは砂糖を加えて煮たときの場合ですね。
やはり、素人では経験が少なすぎて、何でも結論付けるのはよくない。素人の聞きかじりは危険です(マスメディアのくだらないやつは、宣伝あおりでしかない)。
プロの方のジャムの作り方の解説です。レシピではありません。
ジャムを作りましょう
簡単に作れるもの=シンプルに作れるもの
であって、=手を抜いて作れるもの、では決してありません。
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Tips2
イチゴのアクは、イチゴのアクです。そのままストレートな表現しかできない。
お肉や魚、野菜のアクとは違って、アクだけ食べてもイチゴの味しかしません。
イチゴのアクだけすくってラテにして飲まれた方もいらっしゃいます↓
苺のコンポート。コンフィチュール。ていうかジャム
イチゴのアクはまずくありません。おいしくもないけど...
出てくるアクは、見栄えを気にしないなら取らなくてもいいのではないでしょうか。
冷めていく過程で白い泡(アク)は消えていきます。完全には消えないし、冷蔵庫で冷やすと白い泡はとろみの付いた果汁の中で固まります。
見栄えを気にするなら、火を止めてからでいいのでアクを取り除きます。
加熱している時は、アクは取っても取っても出続けます。止めてからした方が効率的だし、無駄が出ません。
戻る
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コンポートの定義については前回(「イチゴアイスクリーム〔前編〕 ~ ももいちご」の記事)触れましたので、今回は煮方。
果実はそのままの形か、切ったりつぶしたりして煮るのか?
丸のままのもあればカットしたもの、煮くずれてかたちがないものもコンポートです。そんなことどうでもよさそうですが、それじゃ、
煮る前につぶして、果肉を濾した液体で煮たらコンポートか?
くだらない疑問だけど、なんでかというと、ハーゲンダッツの『ももいちご』のイチゴは、液体かまたは液体に近い状態までつぶされたもので作られているように見えるから。
ハーゲンダッツのサイトページでは、アイスクリームに「コンポート」を混ぜて作ってあると、はっきりと文字で書かれています。
コンポートをそのまま冷凍庫で固めると、ほぼソルベになります。果実まるごと煮たものを冷凍したら、著しくまずくなりますが、つぶして煮たり煮崩れたものなら、冷凍してから解凍しても変化はほとんどありません。
コンポートは砂糖を加えて煮ます。(Tips1)糖度計算
砂糖を加えて加熱すると、水分が抜けていくと同時に、粘度が出てきます。煮詰めれば煮詰めるほど、水分が無くなりとろとろになる。水分が少ないので冷凍しても結晶化しにくくなります。
<材料>
- あまおう・・・760g
- グラニュー糖・・・400g
ジャムやコンポートなんてめったに作らないので、糖度いくつって言われても、どれくらいの甘さなのかピンと来ません。40%くらいになるようにしました。
まず問題になるのが、あまおうの糖度。糖度計を持ってないなら、ネット検索するしかない。調べてみると、どのページも数値が違っています。調べるだけ無駄。糖度計を持つほかないようです。
ももいちごだけじゃなく、さくらももいちごもあるんですね。
<下ごしらえ>
- いちごを水で洗って水気を切る。
- ヘタを取って8等分に切る。
イチゴを洗うときはヘタを取らないこと。旨みを流出させてしまう。
水気を切って、ペーパーでひと粒ずつ丁寧に種の間の水分も拭き取ります。
ヘタはふだんなら魚の骨抜きでスパスパ取っちゃうところですが、金気を移したくないので手でちぎる。金気は熱を加えなければ、感じるほど移りませんが。
手で引きちぎってあるので残酷に見える。
香りが飛ばないよう、短時間で煮上げたいので8等分くらいに切っておきます。丸のままでは時間がかかりすぎる。
イチゴを生のまま食べる時は、お尻のほうから。先のほうが甘いので丸かじりするなら、ヘタの付いていた方から食べていきます。
<作り方>
1.ホーローや銅の鍋にイチゴと砂糖を入れる。
砂糖の400gってこんなです。ダイエットの大敵ですね。でも、売ってるお菓子やスイーツってもっと入ってますよ。
砂糖をかけてしばらくおくと水分が出てきます。その方が焦げ付きにくいので、イチゴが汗をかくまで待ちます。
鍋はホーローか銅じゃないと、酸化、変色、悪ければ穴をあけてしまいます。どうしてもないなら、厚手の鍋で煮る。厚手でないとイチゴのこんがりソテーができあがります。
2.強火で一気に加熱し、焦げないよう時々混ぜる。
ずっと混ぜ続けなくていいですが、ジュージューいいだしたら時々混ぜる。
レモンやペクチン足したいでしょ? でも何も余計なもの加えません。固まりにくいだけのこと。
水分がにじみ出てきた。
沸いてきた。
10分も煮ていません。アクが一杯浮いてる。Tips2
もっと煮詰めれば、水分が抜けて濃厚になり、日持ちもするようになります。
厳密には糖度計で測定しながら作るか、重量を測りながらしないと、糖度が分かりません。
食べてみておいしければいいわけですが、糖度は保存期間の目安になります。低い糖度ならすぐに食べきるか、冷凍すること。
このコンポートの糖度は?
(760gx0.1+400)/(1160g-煮詰めて減った分))=糖度
煮詰めながら鍋ごと計りにのせるって無理。
1000gまで煮詰まったとしたら、
(760x0.1+400)/1000=47.6
糖度47.6です。しまった。40にするはずだったのに。1160gのまま計算すれば41になるので、早とちりしたようです。
結果、
甘いよ!
このコンポート単独で食べるには甘すぎる。何かにかけるか、パウンドケーキやチーズケーキに混ぜ込めばおいしくなるかも。
コンポートはもともと果実を保存する目的のために作るもの。
果実が思ったほど甘くなかった時に、砂糖を加えて煮ることで、おいしく食べられるようにするためのものでもあります。
compote はフランス語。英語でも同じ綴りでフランス語からの借用語です。
コンフィチュールはフランス語、英語ではジャムじゃなくて、コンサーブ。
コンポートは英語でもありますが、ふつうはプレザーブと言うようです。
コンポート、ミ・コンフィ、コンフィチュール、ジャム、プレザーブ、コンサーブ、ジェリー、ゼリー
日本人にとってはみんな「甘煮」です。カタカナ語が乱立して、勝手な解釈が一人歩きしています。
日本語では「甘煮」に統一したらどうでしょう。カッコワルイけど分かりやすいです。
色んな種類のプレザーブ、コンサーブ、ジャムを掲載してくださっているサイトがありました。
みんな材料の分量があって親切。
秋のジャム祭!!プレザーブ・コンサーブ・コンポート
糖度の違いで保存期間の目安が分かります。
中糖度のブルーベリージャムのレシピ
このコンポートを使ったスイーツ |
・イチゴアイスクリーム〔実践編〕 ~ 頬のゆるむおいしさ |
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・イチゴアイスクリーム〔前編〕 ~ ももいちご ・イチゴアイスクリーム〔その後〕 ~ コンポートは作ったけど イチゴを濾して煮たコンポート(?)でアイスクリームを作る ・イチゴアイスクリーム② ~ ソルベを混ぜ込む 姿形はちがうけれど、おいしいいちごアイスができた ・いちごアイス・ももいちご ~ First of May |
ももいちごの写真を見せていただいた、チョコローズさんのブログ記事 |
数量限定のアイス「ももいちご」 - チョコロスイーツセレクション(So-net blog) |
Tips1
砂糖を加えないで煮るコンポート、コンフィチュール(ジャム)もあります。フランスのサンダルフォー社のジャムは砂糖を使っていませんね。
砂糖無しなのにジャムの定義に当てはまるの?
定義では糖度で規定されています。糖度の計算式は
(果物重量×果物糖度+砂糖重量)/総重量=糖度
砂糖を加えないなら、
果物重量×果物糖度/総重量=糖度
品種、個体差にもよりますがイチゴなら糖度10%前後。ということは、
イチゴ重量x0.1(10%)/総重量=糖度
糖度60%のジャムにしたければ、
イチゴ重量x0.1/総重量=0.6
↓
総重量=イチゴ重量x0.1/0.6
例をあげると、イチゴ200gで糖度60のジャムを作るなら、
総重量=200x0.1/0.6
=33.3
200gのイチゴを33.3gまで煮詰めればジャムになります。
ここまで煮詰めるのはかなりたいへんです。砂糖を100g混ぜて作ったら、
総重量=(200x0.1+100)/0.6
=200
200gのイチゴに100gの砂糖を加えて、300gを200gまで煮詰めれば、糖度60のジャムになります。これなら簡単。
同じ糖度でも33.3gと200gとまったく違ってきます。
今までコンポートやジャムは、弱火で長時間煮過ぎると香りが飛んで風味が落ちると思っていました。でも、それは砂糖を加えて煮たときの場合ですね。
やはり、素人では経験が少なすぎて、何でも結論付けるのはよくない。素人の聞きかじりは危険です(マスメディアのくだらないやつは、宣伝あおりでしかない)。
プロの方のジャムの作り方の解説です。レシピではありません。
ジャムを作りましょう
簡単に作れるもの=シンプルに作れるもの
であって、=手を抜いて作れるもの、では決してありません。
戻る
Tips2
イチゴのアクは、イチゴのアクです。そのままストレートな表現しかできない。
お肉や魚、野菜のアクとは違って、アクだけ食べてもイチゴの味しかしません。
イチゴのアクだけすくってラテにして飲まれた方もいらっしゃいます↓
苺のコンポート。コンフィチュール。ていうかジャム
イチゴのアクはまずくありません。おいしくもないけど...
出てくるアクは、見栄えを気にしないなら取らなくてもいいのではないでしょうか。
冷めていく過程で白い泡(アク)は消えていきます。完全には消えないし、冷蔵庫で冷やすと白い泡はとろみの付いた果汁の中で固まります。
見栄えを気にするなら、火を止めてからでいいのでアクを取り除きます。
加熱している時は、アクは取っても取っても出続けます。止めてからした方が効率的だし、無駄が出ません。
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な、なるほど・・・なんだか算数の時間になってきましたね。
お菓子作りはこの計量が大変なんですよね。
手を抜くと必ず失敗する。
プロの頃合や塩梅は最終的な判断で、
基本の計量がなければ美味しいスイーツはできない。
私はこれが苦手で^^;ついにプロにお任せです。
次のレポも楽しみです。
by チョコローズ (2010-02-26 00:11)
大根の煮物なら煮汁の色で判断できますけど、スイーツって無理なんですよねえ。毎日作ってたら分かるようになるかも。
やっとイチゴアイス1号の記事を投稿しました。この下の記事に上書きしてあります。
実は、2号も上手くいきませんでした。スイーツって難しすぎる。。。
by deipno (2010-02-26 03:23)
大雑把な私は、スイーツを作ったことがありません^^;
やっぱり、算数が苦手だからでしょうか(笑)
こうして、読ませていただいて満足です(^^♪
by kizママ (2010-02-26 15:46)
大雑把でも作れるスイーツを目指したいです。
適当に砂糖をドサット入れて煮て、煮詰まったら完成なんての。プリンも茶碗蒸しもスフレも同じじゃないか。。。
熟練の粋に達しないと無理なのかなあ。
by deipno (2010-02-27 00:27)
初めまして。
ブログにコンポートの作り方をのせたのですが、
参考URLとしてリンク張らせていただきました。
何か問題ありましたらご連絡ください。
初めてコンポート作ったとき、ものすごく参考にさせていただきました!ありがとうございました。
by ねあん (2011-06-05 00:37)
コメントをありがとうございました。参考にしてもらえてうれしく思います。
コンポートも強火で短時間で煮たり、弱火でじっくり煮たりと、それぞれ味わいが違っておもしろいですね。
by deipno (2011-06-06 02:43)