手作りバニラアイスクリーム【後編】 ~ コンプレッサー内蔵アイスクリームメーカーで [甘いもの]
バニラアイスクリームをコンプレッサー内蔵のアイスクリームメーカーで作る。冷凍庫に入れて作る必要がなく、コンプレッサー内蔵の機械なら、なめらかで口解けの良いアイスクリームが作れる。水分が結晶化せず、じゃりじゃりしないアイスクリームができる。
手作りアイスクリームには、思っている気持ちを込められる。味、香りだけじゃなくて、食べる人のことを考えて、やさしい味とかほっとすとか、思い出の味とか自由自在である。
これは、高価な機械を使わなくたってできる。ホイッパーで手動で作ったって、気持ちを思い切り込めればきっとできる。
<材料>
牛乳は低温殺菌牛乳を使う。
生クリームは動物性で低脂肪じゃないもの。
卵の卵黄は大きさによって5個か6個。Lサイズなら5個、小さければ6個。今日のは7個入れた。その時の気分でそうした。Tips1
卵黄は多く入れるほど濃厚なアイスクリームになる。反対に少なすぎるとシャバシャバで薄い、力のないアイスクリームになってしまう。
牛乳500ml、生クリーム200mlだと、売っている市販のアイスクリームのようにするなら、卵黄8個は要ると思う。パティシエのように技術を持っているなら、少ない卵の量でもおいしいものが作れるけれど。。。
卵黄は本来なら個数じゃなくて重量で測るべき。グラムで計って作れば、いつも同じ味に作れる。
卵の量が多いと卵には特有のクセがあり、卵臭さを抜くのに時間がかかる。煮る時間を増やさなければない。短時間で早く温度を上げてしまえば、クセが消せず、食べたときに舌に残ってしまう。
おいしいんだけど後味が悪いアイスクリームを食べたことないですか? その原因のひとつは早く温度を上げすぎ、煮る時間が足りないから。
グラニュー糖は白砂糖、きび砂糖など他の砂糖に変えれば味を変えられる。グラニュー糖が一番すっきりした甘さ。きび砂糖はやさしい味わいだけど、悪く言うと少しぼやけた、はっきりしない甘さ。しかし、ブレンドすると感激に出会える。
上の分量で砂糖が110gだと、甘さ控えめにできあがる。市販のアイスクリームがおいしいと感じる人なら、もう少し砂糖を増やす。120くらい。
スイーツには砂糖の10gは大きな差である。たったさじ一杯の加減で味わいが大きく変化する。
10gの差を感じることができるのも、手作りの良さである。
バニラ棒は高価なのに2本も?Tips2
バニラ棒を上手に使うと砂糖を減量してもおいしい。この分量なら2本は必要。牛乳と生クリームの合計が400mlくらいなら1本でいい。
電池式で冷凍庫に入れて作るアイスクリームメーカーを使うなら、作れる容量が少ないので注意。ほとんどのものは総量で500ml。
lello のアイスクリームメーカーなら800mlを一度に作れる。
<下ごしらえ>
必要な道具は【前編】に。
道具はアルコール消毒する。自分の手もお忘れなく。
卵は卵黄だけ。
↓
バニラ棒は縦半分にナイフで割き、
バニラビーンズをナイフの背でしごき出す。
<作り方>
1.鍋に牛乳と生クリームを合わせて、しごき出したバニラビーンズと、バニラ棒をさやごと入れて、ごく弱火にかける。香りやエキス(=出汁)をじっくり引き出したいときは、冷たい状態から火にかける。
強火で一気に加熱したら、バニラビーンズの香りが十分に抽出できない。ごく弱火でじっくり沸かす。
沸騰させてはいけない。沸かして殺菌しないといけないんだけど、それは他人に食べさせるときのこと。レシピ本ではまず、「沸騰させる」と書いてある。
ある程度沸かさないと牛乳の ”乳臭さ” が残る。しかし、バニラビーンズの香りが付くことで、臭みは感じにくくなる。牛乳の美味しさを残すように、ぎりぎりの温度までしか加熱しない。
牛乳は100度以上まで温度が上がるから、様子を見ながら作業を続ける。目と温度計で随時確認する。
2.卵黄を泡立てる。
卵黄をつぶす。
つぶせたらグラニュー糖を少し入れる。一気に全部入れない。
ハンドミキサーを使って高速で混ぜる。
白っぽくなる。
残りの砂糖を入れる。
↓
↓
かなり白っぽい。
でもこれじゃまだ泡立てが足りない。
ここまでやる。
卵黄だけの泡立てなんて、全卵、メレンゲに比べたら、なんと簡単なこと。
卵に空気をたくさんふくませることで、なめらかで口解けの良いアイスクリームができる。じゃりじゃりしたり、シャーベットのようにサクサク、シャリシャリするアイスができちゃうのは、この泡立てが足りないから。
(注1)
アイスクリームメーカーの撹拌でも空気を含ませるけど、まず、この卵黄の泡立てがポイント。
ハンドミキサーのパワーが足りないと、ここまでするのにかなりの時間がかかる。その間に牛乳が沸騰してしまから注意する。
3.牛乳を沸かす。
鍋の淵に小さい泡がフツフツとしてくるまで。表面に膜ができちゃうけど、そのままでいい。大事なのは沸騰させないこと。沸き出したら一気に吹き零れてしまう。
温度を測定したら、
83度。この温度計は表面温度計なので、牛乳の底面や中はもっと高いと思われる。
4.泡立てた卵黄に沸かした牛乳を少しずつ加えて混ぜる。
混ぜるにはホイッパーに持ち替える。
沸かした牛乳を一気に加えると、卵が煮える。
少量入れて混ぜ、また少量足して混ぜを繰り返し、牛乳の残り半分くらいまで繰り返したら、あとは全部混ぜる。卵に砂糖が入っていることで、煮えてしまうのを防いでいるそうだ。
ホイッパーで混ぜると泡立ってきて心配になるけれど、このあと煮ているうち泡は消えるから大丈夫。
バニラ棒のさやは取り除かなくても、入ったままでいい。
5.卵と牛乳を混ぜたものを鍋に戻して弱火にかける。Tips3
木ベラで側面を8の字を書くように、満遍なく混ぜ続けながら、ゆっくり温度を上げていく。
必ず温度計で測定する。Tips4
これは衛生基準を満たすためじゃない。おいしいなめらかで口解けの良いアイスクリームを作るため。お腹をコワシタッテ...。
煮ているうちに泡がどんどん出てくる。
なめらかで口解けが良い、とは相反することで、とても不安になってくるかも。でもこれでいい。
液体は加熱するとフツフツ、プクプク、ブツブツと泡が出てくる。水だって沸いたら泡が出てくる。
68度で30分はやり過ぎだけど、ゆっくり低い温度で加熱するほど、
卵のクセが抜け、なめらかな食感のアイスクリームが出来上がる。残念ながら、何度で何分がベストなのかは分からない。やり過ぎるとホクホククリームになっちゃうのは知っている。
大切なのは上げる温度。
75度~78度。見逃しちゃっても80度まで。83度では卵が煮えている。
76度まで上げるのに、15分は混ぜ続けた。これは細菌を死滅させるためじゃなくて、卵の臭みを抜くため。
卵が何度でどういう変化をするかは、【前編】で触れた「調理と理論」の本に詳しく書いてある。科学的なデータだから、感覚ではない理論が分かる。
煮ているうちにアングレーズソースはとろみが出てくる。
木ベラで液をすくって確認する。レシピ本ではよく ”ナップ状” =テーブルクロスをかけた状態と表現されてる。ソムリエのワインの評価のようで、素人にはよく分からない表現。
木ベラで液をすくって、指ですーっとなぞって見る。きれいになぞった跡の線が引けて、なぞってない液がくっくり浮き上がっていれば煮えてる。
6.加熱したアングレーズソースをシノワで濾して氷水で冷やす。
熱々の液体を急激に冷やし固めたら、確実に水分が結晶化。十分に冷やしてからアイスクリームメーカーにかける。
シノワ、目が細かいざるで濾さないとなめらかなアイスクリームにならない。目が細かいだけに濾し終わるのに時間がかかる。
こうして木ベラでこすって濾せるのを助けてあげる。
バニラ棒のさやと粒、煮えてしまった卵のカスが残る。バニラの粒はもったいないからって、アイスクリーム液に移す必要はない。アイスクリーム液には十分にバニラの香りが移っている。粒がおいしいのではない。
氷水に乗せたボールに煮えたアイスクリーム液を移し、ボールをクルクル回しながら冷やします。ずっと回し続けるのは苦痛。ビールでも飲みながら、時々回しに行く。
注意!! そのまま放置すると、ボールの淵だけが冷え固まる。中心が生温かくて周辺だけ零度に。
参考までに冷えた液の中心の ”表面温度” を測定したら、
18度。底面とボール周辺はもっと低いはず。
7.lello アイスクリームメーカーの電源を入れる。
予備冷却は5分あれば十分。
8.アイスクリームメーカーのアルミ製ボールに、冷やした液を移してセットする。
この上部の長い突起部分を通過して、ボールがしっかり奥まで入るように押し込む。早くアイスクリームを冷やし固めるために、ボールと容器の密着するようになっていて力が要る。
左右の取っ手の留め金がパッキンの型にピッタリ収まって、本体と密着したか確認。
蓋に羽根を差し込んで、本体にかぶせる。
9.タイマーをセットしてスタートボタンを押す。
タイマーボタンを押したままにしていれば、自動的に1分ずつ時間が減って、好きな時間にセットすできる。
上記材料の分量なら、40分もあれば完成。
10.時計を見て40分後がいつかを確認。
これには理由があり、何か不都合があった場合、警告音の「ピーピー」が鳴って、タイマーでセットした時間が進まない。なぜなのかが分からない。
セットした時間が進まず、タイマーの時間が減らなくても、羽根は撹拌を続けるから、実際の40分でアイスクリームは出来上がり。
徐々に固まってきた。
途中で蓋を開けて様子を見る。アイスクリームは固まってるから、蓋を取るとこのように羽根だけ残ります。カチカチになってから様子を見たのでは、羽根を持ち上げることができなくる。
少しゆるいくらいで別の容器に移さないと、カチカチでは取り分けることができなくなる。
出来たかどうかは食べてみれば分かる。
羽根を持ち上げて、
別の容器に取り分ける。
羽根とボールに残ったアイス、
この出来立てアイスクリームは何もかけずに食べる。美味しいどうかなんて、言う必要ないでしょう。
Tips1
卵黄だけ使ったら卵白が残る。卵白は冷凍できるのでホーローなど清潔な容器に入れて冷凍し、解凍すれば何か別のことに使える。
卵黄は冷凍できない。
卵黄だけにするにはこんな道具があると便利。
卵黄が小さいとたまに溝からすり抜けるけど、また拾い上げ救ってあげればいいだけ。溝からすり抜けても卵黄はつぶれない。
黄身取り無しで卵黄だけにする方法は、手でやるのが一番だけど、アイスクリームなどデリケートな食べ物作るときは、手をアルコールで消毒してね。石鹸で洗っても手をタオルで拭いたら、雑菌を確実に拾ってるよ。
自分で作って自分で食べるなら、そんな必要はありません。
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Tips2
バニラ棒は高価なのでバニラエクストラクトを自作するといい。
バニラエクストラクトも売ってるけど、バニラビーンズよりも高価。
「バニラエクストラクトの作り方」は簡単、バニラ棒を縦半分に割いて、ウォッカに漬け込むだけ。
半年くらい漬けとけばできあがり。時々振って混ぜて最低3ヶ月、半年は待つこと。
何かでバニラ棒を使って端っこの切れ端が残ったとか、1/2本だけ使ったとかいうときは、このバニラエクストラクトの中へ足しいくといい。バニラ棒の余りが感動を作ってくれる。
ウォッカは傷まないけど、バニラ棒はダメ。バニラ棒は完全にウォッカに浸った状態にし、半年浸けたら取り出して捨てる。十分にエキスを抽出できたら役目は終わり。
バニラ棒とウォッカは継ぎ足し可能。
バニラエッセンスは使わないほうがいい。バニラ棒、バニラエクストラクトがなかったら、他の美味しくする方法を考える。ミントの葉っぱで香りを付けたり。バジルもいいかも。柚子の皮、みかんの皮だって、感動の仕方はいくらでもある。
戻る
Tips3
よく見かけるのがアイスクリームを作る時、アングレーズソースを煮る温度 83度。しかし、83度で何分煮るかは書いてないのがほとんど。条件によって違うから。
衛生上の基準は
「68℃で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する処理方法をとらなければならない」
何事も中途半端はいけない。
68度で30分炊くのを実践したことがある。
ひたすら優しく混ぜ続けないと、どんどん温度が上がっていくので、かなりつらかったけれど、左手に温度計、右手に木ベラで混ぜ続けで30分。混ぜ過ぎても温度が下がる。まるで拷問!
出来上がったアイスクリームは、衛生上の厳しい基準は満たしている。食べた時の食感と味は?
”完璧に安全な” アイスクリームとはこういうものなのか?
アイスクリームは氷点下、マイナスの温度なのに冷たくない。
なめらかな口解けとは程遠く、ホクホクした栗やさつま芋。良く言えばスイートポテト。
試しに温度を敏感に感じる唇に付けてみると、ぬるい水か?って程度で、冷凍庫に入れておいたのに冷たく感じない。感じにくい耳たぶは、こんにゃくでも張り付いたか?という程度。
結論
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Tips4
温度計はレーザー式の放射温度計なら、液体の中に入れなくていいので、割れる心配が無く腕も疲れない。ただし、表面の温度しか計れない。
内面の温度はヘラですくって、そのすくった液の温度を測るようにする。
放射温度計は ”表面温度” だって注意さえしていれば大変便利。オーブンの予熱温度、揚げ油の温度、アイスクリームのベースが冷えたかどうか見る温度、お弁当の蓋する前にご飯が冷めたかどうか...と、感覚では分からない正確な温度が分かる。
-30~550度まで測定できる。安物だたと高温と、低温には対応していない。
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(注1)
<卵黄は泡立てるのが正解か?>
プロの方は違うよう。”白っぽくなるまで” すり混ぜる= ”ブランシール” 。
このサイトでアイスクリームの基本を解説してくださっている。
アイスクリームとは - フランス菓子とその考察
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手作りアイスクリームには、思っている気持ちを込められる。味、香りだけじゃなくて、食べる人のことを考えて、やさしい味とかほっとすとか、思い出の味とか自由自在である。
これは、高価な機械を使わなくたってできる。ホイッパーで手動で作ったって、気持ちを思い切り込めればきっとできる。
<材料>
- 低温殺菌牛乳・・・500ml
- 生クリーム・・・200ml
- 卵黄・・・5個~6個
- グラニュー糖・・・110g
- バニラビーンズ(バニラ棒)・・・2本
牛乳は低温殺菌牛乳を使う。
生クリームは動物性で低脂肪じゃないもの。
卵の卵黄は大きさによって5個か6個。Lサイズなら5個、小さければ6個。今日のは7個入れた。その時の気分でそうした。Tips1
卵黄は多く入れるほど濃厚なアイスクリームになる。反対に少なすぎるとシャバシャバで薄い、力のないアイスクリームになってしまう。
牛乳500ml、生クリーム200mlだと、売っている市販のアイスクリームのようにするなら、卵黄8個は要ると思う。パティシエのように技術を持っているなら、少ない卵の量でもおいしいものが作れるけれど。。。
卵黄は本来なら個数じゃなくて重量で測るべき。グラムで計って作れば、いつも同じ味に作れる。
卵の量が多いと卵には特有のクセがあり、卵臭さを抜くのに時間がかかる。煮る時間を増やさなければない。短時間で早く温度を上げてしまえば、クセが消せず、食べたときに舌に残ってしまう。
おいしいんだけど後味が悪いアイスクリームを食べたことないですか? その原因のひとつは早く温度を上げすぎ、煮る時間が足りないから。
グラニュー糖は白砂糖、きび砂糖など他の砂糖に変えれば味を変えられる。グラニュー糖が一番すっきりした甘さ。きび砂糖はやさしい味わいだけど、悪く言うと少しぼやけた、はっきりしない甘さ。しかし、ブレンドすると感激に出会える。
上の分量で砂糖が110gだと、甘さ控えめにできあがる。市販のアイスクリームがおいしいと感じる人なら、もう少し砂糖を増やす。120くらい。
スイーツには砂糖の10gは大きな差である。たったさじ一杯の加減で味わいが大きく変化する。
10gの差を感じることができるのも、手作りの良さである。
バニラ棒は高価なのに2本も?Tips2
バニラ棒を上手に使うと砂糖を減量してもおいしい。この分量なら2本は必要。牛乳と生クリームの合計が400mlくらいなら1本でいい。
電池式で冷凍庫に入れて作るアイスクリームメーカーを使うなら、作れる容量が少ないので注意。ほとんどのものは総量で500ml。
lello のアイスクリームメーカーなら800mlを一度に作れる。
<下ごしらえ>
- 道具を全てアルコール消毒する。
- 卵を卵黄だけにする。
- バニラ棒を縦半分に割く。
必要な道具は【前編】に。
道具はアルコール消毒する。自分の手もお忘れなく。
卵は卵黄だけ。
↓
バニラ棒は縦半分にナイフで割き、
バニラビーンズをナイフの背でしごき出す。
<作り方>
1.鍋に牛乳と生クリームを合わせて、しごき出したバニラビーンズと、バニラ棒をさやごと入れて、ごく弱火にかける。香りやエキス(=出汁)をじっくり引き出したいときは、冷たい状態から火にかける。
強火で一気に加熱したら、バニラビーンズの香りが十分に抽出できない。ごく弱火でじっくり沸かす。
沸騰させてはいけない。沸かして殺菌しないといけないんだけど、それは他人に食べさせるときのこと。レシピ本ではまず、「沸騰させる」と書いてある。
ある程度沸かさないと牛乳の ”乳臭さ” が残る。しかし、バニラビーンズの香りが付くことで、臭みは感じにくくなる。牛乳の美味しさを残すように、ぎりぎりの温度までしか加熱しない。
牛乳は100度以上まで温度が上がるから、様子を見ながら作業を続ける。目と温度計で随時確認する。
2.卵黄を泡立てる。
卵黄をつぶす。
つぶせたらグラニュー糖を少し入れる。一気に全部入れない。
ハンドミキサーを使って高速で混ぜる。
白っぽくなる。
残りの砂糖を入れる。
↓
↓
かなり白っぽい。
でもこれじゃまだ泡立てが足りない。
ここまでやる。
卵黄だけの泡立てなんて、全卵、メレンゲに比べたら、なんと簡単なこと。
卵に空気をたくさんふくませることで、なめらかで口解けの良いアイスクリームができる。じゃりじゃりしたり、シャーベットのようにサクサク、シャリシャリするアイスができちゃうのは、この泡立てが足りないから。
(注1)
アイスクリームメーカーの撹拌でも空気を含ませるけど、まず、この卵黄の泡立てがポイント。
ハンドミキサーのパワーが足りないと、ここまでするのにかなりの時間がかかる。その間に牛乳が沸騰してしまから注意する。
3.牛乳を沸かす。
鍋の淵に小さい泡がフツフツとしてくるまで。表面に膜ができちゃうけど、そのままでいい。大事なのは沸騰させないこと。沸き出したら一気に吹き零れてしまう。
温度を測定したら、
83度。この温度計は表面温度計なので、牛乳の底面や中はもっと高いと思われる。
4.泡立てた卵黄に沸かした牛乳を少しずつ加えて混ぜる。
混ぜるにはホイッパーに持ち替える。
沸かした牛乳を一気に加えると、卵が煮える。
少量入れて混ぜ、また少量足して混ぜを繰り返し、牛乳の残り半分くらいまで繰り返したら、あとは全部混ぜる。卵に砂糖が入っていることで、煮えてしまうのを防いでいるそうだ。
ホイッパーで混ぜると泡立ってきて心配になるけれど、このあと煮ているうち泡は消えるから大丈夫。
バニラ棒のさやは取り除かなくても、入ったままでいい。
5.卵と牛乳を混ぜたものを鍋に戻して弱火にかける。Tips3
木ベラで側面を8の字を書くように、満遍なく混ぜ続けながら、ゆっくり温度を上げていく。
必ず温度計で測定する。Tips4
これは衛生基準を満たすためじゃない。おいしいなめらかで口解けの良いアイスクリームを作るため。お腹をコワシタッテ...。
煮ているうちに泡がどんどん出てくる。
なめらかで口解けが良い、とは相反することで、とても不安になってくるかも。でもこれでいい。
液体は加熱するとフツフツ、プクプク、ブツブツと泡が出てくる。水だって沸いたら泡が出てくる。
68度で30分はやり過ぎだけど、ゆっくり低い温度で加熱するほど、
卵のクセが抜け、なめらかな食感のアイスクリームが出来上がる。残念ながら、何度で何分がベストなのかは分からない。やり過ぎるとホクホククリームになっちゃうのは知っている。
大切なのは上げる温度。
75度~78度。見逃しちゃっても80度まで。83度では卵が煮えている。
76度まで上げるのに、15分は混ぜ続けた。これは細菌を死滅させるためじゃなくて、卵の臭みを抜くため。
卵が何度でどういう変化をするかは、【前編】で触れた「調理と理論」の本に詳しく書いてある。科学的なデータだから、感覚ではない理論が分かる。
煮ているうちにアングレーズソースはとろみが出てくる。
木ベラで液をすくって確認する。レシピ本ではよく ”ナップ状” =テーブルクロスをかけた状態と表現されてる。ソムリエのワインの評価のようで、素人にはよく分からない表現。
木ベラで液をすくって、指ですーっとなぞって見る。きれいになぞった跡の線が引けて、なぞってない液がくっくり浮き上がっていれば煮えてる。
6.加熱したアングレーズソースをシノワで濾して氷水で冷やす。
熱々の液体を急激に冷やし固めたら、確実に水分が結晶化。十分に冷やしてからアイスクリームメーカーにかける。
シノワ、目が細かいざるで濾さないとなめらかなアイスクリームにならない。目が細かいだけに濾し終わるのに時間がかかる。
こうして木ベラでこすって濾せるのを助けてあげる。
バニラ棒のさやと粒、煮えてしまった卵のカスが残る。バニラの粒はもったいないからって、アイスクリーム液に移す必要はない。アイスクリーム液には十分にバニラの香りが移っている。粒がおいしいのではない。
氷水に乗せたボールに煮えたアイスクリーム液を移し、ボールをクルクル回しながら冷やします。ずっと回し続けるのは苦痛。ビールでも飲みながら、時々回しに行く。
注意!! そのまま放置すると、ボールの淵だけが冷え固まる。中心が生温かくて周辺だけ零度に。
参考までに冷えた液の中心の ”表面温度” を測定したら、
18度。底面とボール周辺はもっと低いはず。
7.lello アイスクリームメーカーの電源を入れる。
予備冷却は5分あれば十分。
8.アイスクリームメーカーのアルミ製ボールに、冷やした液を移してセットする。
この上部の長い突起部分を通過して、ボールがしっかり奥まで入るように押し込む。早くアイスクリームを冷やし固めるために、ボールと容器の密着するようになっていて力が要る。
左右の取っ手の留め金がパッキンの型にピッタリ収まって、本体と密着したか確認。
蓋に羽根を差し込んで、本体にかぶせる。
9.タイマーをセットしてスタートボタンを押す。
タイマーボタンを押したままにしていれば、自動的に1分ずつ時間が減って、好きな時間にセットすできる。
上記材料の分量なら、40分もあれば完成。
10.時計を見て40分後がいつかを確認。
これには理由があり、何か不都合があった場合、警告音の「ピーピー」が鳴って、タイマーでセットした時間が進まない。なぜなのかが分からない。
セットした時間が進まず、タイマーの時間が減らなくても、羽根は撹拌を続けるから、実際の40分でアイスクリームは出来上がり。
徐々に固まってきた。
途中で蓋を開けて様子を見る。アイスクリームは固まってるから、蓋を取るとこのように羽根だけ残ります。カチカチになってから様子を見たのでは、羽根を持ち上げることができなくる。
少しゆるいくらいで別の容器に移さないと、カチカチでは取り分けることができなくなる。
出来たかどうかは食べてみれば分かる。
羽根を持ち上げて、
別の容器に取り分ける。
羽根とボールに残ったアイス、
この出来立てアイスクリームは何もかけずに食べる。美味しいどうかなんて、言う必要ないでしょう。
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Tips1
卵黄だけ使ったら卵白が残る。卵白は冷凍できるのでホーローなど清潔な容器に入れて冷凍し、解凍すれば何か別のことに使える。
卵黄は冷凍できない。
卵黄だけにするにはこんな道具があると便利。
卵黄が小さいとたまに溝からすり抜けるけど、また拾い上げ救ってあげればいいだけ。溝からすり抜けても卵黄はつぶれない。
黄身取り無しで卵黄だけにする方法は、手でやるのが一番だけど、アイスクリームなどデリケートな食べ物作るときは、手をアルコールで消毒してね。石鹸で洗っても手をタオルで拭いたら、雑菌を確実に拾ってるよ。
自分で作って自分で食べるなら、そんな必要はありません。
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Tips2
バニラ棒は高価なのでバニラエクストラクトを自作するといい。
バニラエクストラクトも売ってるけど、バニラビーンズよりも高価。
「バニラエクストラクトの作り方」は簡単、バニラ棒を縦半分に割いて、ウォッカに漬け込むだけ。
半年くらい漬けとけばできあがり。時々振って混ぜて最低3ヶ月、半年は待つこと。
何かでバニラ棒を使って端っこの切れ端が残ったとか、1/2本だけ使ったとかいうときは、このバニラエクストラクトの中へ足しいくといい。バニラ棒の余りが感動を作ってくれる。
ウォッカは傷まないけど、バニラ棒はダメ。バニラ棒は完全にウォッカに浸った状態にし、半年浸けたら取り出して捨てる。十分にエキスを抽出できたら役目は終わり。
バニラ棒とウォッカは継ぎ足し可能。
バニラエッセンスは使わないほうがいい。バニラ棒、バニラエクストラクトがなかったら、他の美味しくする方法を考える。ミントの葉っぱで香りを付けたり。バジルもいいかも。柚子の皮、みかんの皮だって、感動の仕方はいくらでもある。
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Tips3
よく見かけるのがアイスクリームを作る時、アングレーズソースを煮る温度 83度。しかし、83度で何分煮るかは書いてないのがほとんど。条件によって違うから。
衛生上の基準は
「68℃で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する処理方法をとらなければならない」
何事も中途半端はいけない。
68度で30分炊くのを実践したことがある。
ひたすら優しく混ぜ続けないと、どんどん温度が上がっていくので、かなりつらかったけれど、左手に温度計、右手に木ベラで混ぜ続けで30分。混ぜ過ぎても温度が下がる。まるで拷問!
出来上がったアイスクリームは、衛生上の厳しい基準は満たしている。食べた時の食感と味は?
まるで栗のようにホクホクした、冷たさを全く感じない、和菓子のようなホクホククリーム! |
”完璧に安全な” アイスクリームとはこういうものなのか?
アイスクリームは氷点下、マイナスの温度なのに冷たくない。
なめらかな口解けとは程遠く、ホクホクした栗やさつま芋。良く言えばスイートポテト。
試しに温度を敏感に感じる唇に付けてみると、ぬるい水か?って程度で、冷凍庫に入れておいたのに冷たく感じない。感じにくい耳たぶは、こんにゃくでも張り付いたか?という程度。
結論
衛生上の基準を満たすように作ったのでは、おいしいアイスクリームなんて作れやしない。 |
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Tips4
温度計はレーザー式の放射温度計なら、液体の中に入れなくていいので、割れる心配が無く腕も疲れない。ただし、表面の温度しか計れない。
内面の温度はヘラですくって、そのすくった液の温度を測るようにする。
放射温度計は ”表面温度” だって注意さえしていれば大変便利。オーブンの予熱温度、揚げ油の温度、アイスクリームのベースが冷えたかどうか見る温度、お弁当の蓋する前にご飯が冷めたかどうか...と、感覚では分からない正確な温度が分かる。
-30~550度まで測定できる。安物だたと高温と、低温には対応していない。
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(注1)
<卵黄は泡立てるのが正解か?>
プロの方は違うよう。”白っぽくなるまで” すり混ぜる= ”ブランシール” 。
このサイトでアイスクリームの基本を解説してくださっている。
アイスクリームとは - フランス菓子とその考察
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